漫画の原稿用紙のようなコマ割りの中に動画を挿入して、カメラワークでコマを見せるテクニックです。手数が多く、専用画像や中間データの作成もあるため敷居は高いものの、TV番組やPV等商業シーンでも通用する演出です。
作業の流れです。1)2)はAdobe Illustrator等のグラフィックスソフトで制作します。3)は無圧縮avi形式の4K動画と、モーション作業に使う縮小版の動画を出力します。
まずはコマ割り原稿用紙の画像を作ります。
画像全体のサイズは3840×2160ピクセル(4Kサイズ)
その中央にA4比(1527×2160ピクセル)の原稿用紙を設置します。
枠線の中は透過させます。
コマ割りの後ろに動画を配置します。
PNG出力した様子。サイズを指定してこの様な画像が作れるなら、制作ソフトは問いません。(作成ではCorelDRAWを使っています)
また、原稿用紙サイズの白黒画像も準備しておきます。この画像は動画と背景を合成する際、原稿用紙サイズに動画を切り抜くマスクとして使います。
ベースとなる4K動画を作成します。原稿用紙に素材を割り付けた動画です。
設定 → プロジェクトのプロパティ → DV/AVI → 新規作成
AVIタブ
圧縮なし(その他は初期設定のまま)
全般タブ
フレームタイプ:フレームベース
ユーザー定義:幅3840高さ2160
その他は初期設定のまま
原稿用紙の画像をトラックの手前に配置します。作例では動画の尺を10秒に設定しています。また、背景には白色のカラークリップを敷きます。
コマの大きさに合わせて動画や画像を配置、またはアニメーションを設定します。テロップやアニメーションをワクのさらに上に配置するのも、演出としてはアリです。
素材の切り抜きはFX「クロップ」を使います。動画の場合透過切り抜きにはならないので、背景色と同じ白色に設定します。
画像も同様にFX「クロップ」で切り抜きします。画像は透過切り抜きが有効なので、より扱いやすいです。
各素材をコマに割り付けました。10秒間の間に、各コマがわちゃわちゃとアニメーションしています。
この中間データを4K(3840×2160)とHD(1280×720)の2点出力します。HDはモーション付の際の作業用として、4Kは出力時に差し替えて高画質出力するためです。
4K動画は無圧縮のavi形式で出力します。完了→AVI→プロファイル新規作成(+ボタン)から、プロジェクトのプロパティ設定と同じ要領で設定・出力します。
HD(1280×720)は、MPEG-4の設定にプリセットがありますので、そちらから出力します。
<注意>
無圧縮avi動画は非常にデータサイズが大きいです(作例では10秒で約7GB)。PCのストレージ容量等にご注意ください。
中間データの出力が終わったら、新規プロジェクトを作成して、動画のモーションを設定します。
配置するのは1280×720版で、最初に作ったマスク動画を適用して、原稿用紙サイズに切り抜きします。(背景との合成に必要)
配置した動画を拡大して、各コマが全画面になるように移動します。
作例では、動きに緩急を付けています。コマ間の移動は10フレーム掛けています。
また、移動時のキーフレームに、イーズイン/イーズアウトを付けて動きに重さを付けています。
モーション設定が完了したら、一旦動画を保存して、4K動画と差し替えます。
クリップを右クリック → クリップを置き換え → ビデオ → 4K動画を選択
モーションを維持したまま、鮮明な画質になりました。モーションを変更する場合は、再び1280×720動画に差し替えての作業をお勧めします。
MP4形式にフルHD出力します。
手間は掛かりますが、キャッチーな見た目で商業で通用するテクニックです。興味のある方は挑戦してみてください。